多々たた)” の例文
身は一けん独立のごとくして、心は娼妓しょうぎよりもなお独立なく他人に依頼し、しかも他人の愛憎あいぞうによりその日を送れるものが多々たたありはせぬか。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
かれがここへけつけてきたのは、山県蔦之助やまがたつたのすけ遠矢とおや敗北はいぼくがなんとも、ふしんな負けかたであり、しかねるてん多々たたあるので、徳川方とくがわがたの勝ちとさけんだ検証けんしょう一火いっか目付役めつけやくの者に
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
マスネー博士(やや狼狽ろうばいせる声)「いや、まだ太平洋の方は温度気圧湿度などの条件と手術の関係が研究できて居りませぬので、当分太平洋は……それに、欧州方面で試験すべきことが多々たた残って居りまして、ぜひとも欧州専門にいたしたく……」
諜報中継局 (新字新仮名) / 海野十三(著)
文化の進歩とともに昔時せきじのごとき蛮勇ばんゆうの必要はいちじるしく減少げんしょうしたけれども、思慮しりょと判断力とにおいて多々たたますます進むにあらざれば、男一匹として女子にまさるの理由を失うにいたる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
多々たたの如く捨てずして
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)