外眦めじり)” の例文
毎日びんや前髪を大きくふっくらと取った丸髷まるまげ姿で出ていた彼女は、大きな紋のついた羽織もぬがずに、外眦めじりをきりきりさせてそこに突立っていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
八の顔は右の外眦めじりに大きな引弔ひつつりがあつて頗る醜い。それに彼のこれ迄に経験して来た、暗い、鈍い生活が顔に消されない痕跡こんせきしるしてゐる。併し少しも陰険な処は無い。
金貨 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
お国はけわしい目を光らせながら、グイグイ酒を飲んだ。飲めば飲むほど、顔が蒼くなった。外眦めじりが少し釣り上って、蟀谷こめかみのところに脈が打っていた。唇が美しいうるおいをもって、頬がけていた。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
先に立つて行く軍人の雨覆あまおほひが八の絆纏のそでと摩れ摩れになつて、その軍人は通り過ぎた。八は子供の時に火傷やけどをして、右の外眦めじりから顳顬こめかみに掛けて、大きな引弔ひつつりがあるので、徴兵に取られなかつた。
金貨 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)