壅塞ようそく)” の例文
有志之士、不堪杞憂きいうにたへずしば/\正論讜議たうぎすと雖、雲霧濛々もう/\がうも採用せられず。すなはち断然奸魁かんくわいたふして、朝廷の反省を促す。下情壅塞ようそくせるより起ると云ふは即是也すなはちこれなり
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
しかして交通安全でなければ、いかなる文明も遠隔の地に波及すること至難ではあるまいか。伝播力があっても、壅塞ようそくの方が強くして、伝播の事実が現われ難いだろう云々。
弁ズルコトハ外ニ明ナリト雖ドモ心常ニ壅塞ようそく丕閉ひへいシテ理内ニ暗シ如此ノ徒ハ我植学ノ域内ニ在テ大ニ恥ヅベキ者ナラズヤ是レ之ヲ強求スレバ必ズ得ルコトアルモ我ノ理ノ通ゼザル処アレバ皆之ヲ神明ノ秘蘊ニ托シテ我ノ不明不通ヲ覆掩修飾スレバナリ
彼徒かのとこれを寛仮することあたはず、不得已やむをえず斬殺に及びしものなり。其壮烈果敢、桜田の挙にも可比較ひかくすべしこのゆゑいやしくも有義気ぎきある者、愉快と称せざるはなし。抑如此そも/\かくのごとき事変は、下情の壅塞ようそくせるより起る。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
わたくしの附記して置きたいのは、茶山の病が独り此消食管せうしよくくわん壅塞ようそくすなはち所謂いはゆる嗝噎かくえつのみではなかつたと云ふことである。わたくしはかみの甲申旺秋後の茶山の書牘を引くに当つて、其全文を写し出した。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)