地車だんじり)” の例文
大海浜だいかいはま宿院浜しゆくゐんはま熊野浜くまのはまなどと組々の名の書いた団扇うちはを持つて、後鉢巻うしろはちまきをした地車だんじり曳きの子供等が、幾十人となく裸足はだしで道を通ります。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
青いかへでの枝にかこまれた泉水の金魚を見ながら、くびのおしろいを附けて貰つて居ると、近く迄来た地車だんじりのきしむ音がした。
住吉祭 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
こんな歌もきこえて来た、さうすると三つの井戸の金滑車かなくるまきがけたたましい音を立てて、地車だんじりの若衆に接待する砂糖みづを造るので家の中が忙しくなる。
住吉祭 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
通る地車だんじりの数が多くなつて、砂糖水はもう間に合はないで、奉書包みを扇に載せてその世話人達に番頭は配つて、橋の上に立つて大きい目をした張飛だの
住吉祭 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
そのうち空の雷鳴が遠くから次第に近い所へ寄つて来るやうに響いて、地車だんじりの音がして来ます。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
風呂に入りますと、浴槽ゆぶねの湯が温泉でも下に湧き出して居るやうに、地車だんじりの響で波立ちます。大鳥さんの日の着物は、大抵紺地か黒地の透綾上布すきやじやうふです。襦袢じゆばんの袖は桃色の練絹ねりぎぬです。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)