けい)” の例文
他国に使し、けいを捧げてその君主にまみえられる時には、小腰をかがめて進まれ、圭の重さにたえられないかのような物腰になられる。
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
漢の焦延寿の『易林』にそん鶏と為すとあれば、そんけいは巽鶏そんけいだ、けいの字音にって蛙をケイと読み損じて、たつみの方の三足の蛙と誤伝したのである。
「この湯は何にくんだろう」と豆腐屋のけいさんが湯槽ゆぶねのなかで、ざぶざぶやりながら聞く。
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ろくさんが最後に降参する所も弁護します。碌さんはあのうちで色々に変化して居る。然し根が呑気のんきの人間だから深く変化するのじゃない。けいさんは呑気にして頑固なるもの。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
一日、二日はゼスチュア遊びをして、はじめは面白かったが、二日には、全然いやになって、鎌倉かまくらけいちゃんの発案で、兄さん、新宿のマメちゃん、僕と四人で「父帰る」の朗読をやった。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
ね、『鮭』——魚へんけいという字を書くんだよ、これはフグという字なんだよ。ところが藪の先生、それを『しゃけ』と読んでしまったんだ、魚扁に生、それはサケともいうし、シャケともいう字なんだ。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「おいこれから曲がっていよいよ登るんだろう」とけいさんが振り返る。
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ぶらりと両手をげたまま、けいさんがどこからか帰って来る。
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)