土泥竈どべっつい)” の例文
血眼で、自分のつづれた着物を、やっとくりやの隅に見つけ出すと、それを抱えたまま、土泥竈どべっついの肩に足をかけて、引窓から屋根へ這い出した。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
軒先の床几しょうぎを占めると、土泥竈どべっついにせいろうをかけて、木を燃やしていた老婆が、ぬるい茶を汲んでくる。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
老婆は、夕餉ゆうげの物をかけた土泥竈どべっついの前にしゃがみ込んで、きつけにかかったまま
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
台所と仕事場との土間つづきの隅に、たきぎが積んであって、そのわきには土泥竈どべっついがあり、荒壁には、みのや笠などがかけてあったが——その壁に寄った泥竈へっついの蔭から、ごそりと蓑がうごいた。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
真っ黒な天井てんじょうの下に、三つの大きな土泥竈どべっついが並んでいた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)