国表くにおもて)” の例文
旧字:國表
委細いさいは後で話す。逃げ隠れする程なら、大牟田公平は、遙々はるばる国表くにおもてから出て来て、しかもここまで参りはいたさん。
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その時は別におとがめも受けないが、国表くにおもてへつくと早速「差控え」を食うことになっている。図々しいのになると、差控えの五犯も六犯も重ねて平気な奴がある。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
祖五郎は又信州上田在中の条にいる姉のもとへも手紙を送る。一度お国表くにおもてへ行って来るとのみしたゝめ、別段細かい事は書きません。さて両人は美作の国を指して発足ほっそくいたしました。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
島津も、早々に国表くにおもてへ引きとるようにとつれないお返事だったということだった。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)