因数フアクター)” の例文
此所こゝ迄考へた時、代助のあたまなかに、突然三千代みちよ姿すがたうかんだ。其時そのとき代助はこの論理中に、ある因数フアクターかぞへ込むのを忘れたのではなからうかとうたぐつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
けれども、其因数フアクターうしても発見はつけんする事が出来できなかつた。すると、自分が三千代に対する情あひも、此論理ろんりによつて、たゞ現在的げんざいてきのものにぎなくなつた。かれあたままさにこれを承認した。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此矛盾の両面を双対そうたいに見た時、代助は急に自己の没論理に恥ぢざるを得なかつた。彼の腰は半ば椅子を離れた。けれども彼はこの没論理の根底に横はる色々いろ/\因数フアクターを自分でく承知してゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)