“啼立(なきた)” の例文
然(しか)るに天(てん)へ上(のぼ)った姫(ひめ)の眼(め)は、大空中(おほぞらぢゅう)を殘(のこ)る隈(くま)もなう照(て)らさうによって、鳥(とり)どもが晝(ひる)かと思(おも)うて、嘸(さぞ)啼立(なきた)つることであらう。
道が人気の絶えた薄暗い木立際(こだちぎわ)へ入ったり、線路ぞいの高い土堤(どて)の上へ出たりした。底にはレールがきらきらと光って、虫が芝生に途断(とぎ)れ途断れに啼立(なきた)っていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)