咿唔いご)” の例文
ひとり我慶應義塾の社中は、偶然の発意にして断じて世事に関せず、都下の東南芝新銭座の塾舎に相集りて眠食常に異ならず、弾丸雨飛うひの下、咿唔いごの声を絶たざることほとんど半年
故社員の一言今尚精神 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
今や我が国都鄙とひいたる処として庠序しょうじょの設けあらざるはなく、寒村かんそん僻地へきちといえどもなお咿唔いごの声を聴くことをことに女子教育の如きも近来長足ちょうそくの進歩をなし、女子の品位を高め
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
烏兎匇々呱々の声は咿唔いごの声に化せり、襁褓中の襄は長じて童子となれり、教育は始められたり。藩学に通へる一書生は彼が句読の師として、学校より帰る毎に彼の家に迎へられたり。
頼襄を論ず (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
彼の講義ぶりあざや所謂いわゆる水際立っていた。二月あまり経った頃には塾生の数も八十人を越し、咿唔いごの声道に響き行人の足を止める程であった。佐藤はすこぶる得意であった。従って講義に油が乗る。
夜学の咿唔いごの尾が
(新字旧仮名) / 高祖保(著)
弾丸雨飛のもとにも、咿唔いごの声を断たずして、学問の命脈を持続すべきはずなりしに、学校組織の不完全なると学者輩の無気力なるとにより、ついに然るを得ずして、見るに忍びざるの醜体を呈し
学問の独立 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)