咽喉部いんこうぶ)” の例文
痣蟹はピストルを捨てると、猛虎もうこのように身をおどらせてジュリアに迫った。その太い手首が、ジュリアの咽喉部いんこうぶをギュッと絞めつけようとする。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
蔦代の死体の胸には喜平の胸の傷口の血糊ちのりがべっとりとつき、蔦代の手の短刀が喜平の咽喉部いんこうぶに触れた。
恐怖城 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
まず、目につくのは、鋭い刃物でえぐったような咽喉部いんこうぶの深い傷口——うん、やっぱりさっき口笛が聞えたとき、残虐ざんぎゃくきわまりなき吸血鬼が出たのだ。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
殺人であって自殺ではないことは、のちに隧道の中から探し出された轢断屍体れきだんしたい咽喉部いんこうぶに残る紫色の斑紋はんもんから明らかなことだった。扼殺やくさつ——つまり喉を締めたのだ。
キド効果 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それをかこんで二人の人物が、熱心に頭と頭とをつきあわさんばかりにしていた。一人は白い手術着を着て、メスだのはさみだのを取りあげ、屍体の咽喉部いんこうぶ切開せっかいしていた。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)