和船わせん)” の例文
大きなオールを、ひとりで二本あやつるのはむずかしいので、明智はくふうをして、一本のオールを和船わせんのろのようにつかって、ボートをこぎました。
仮面の恐怖王 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
アンドレア李旦の船は三二段帆のさよぶね(和蘭造りの黒船)で、和船わせん前敷まえしきにあたるところに筒丈つつだけ、八尺ばかりの真鍮しんちゅうの大筒を二梃据えつけてあった。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それの後からはボコボコと、エンジンの音を立てて、幾百そうとなく、うす汚れた和船わせんが、同じ方角に出ていったが、これには各々、防空監視員が乗りこんでいた。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
涼しい樹陰こかげに五六艘の和船わせんが集つて碇泊して居るさまが絵のやうに下に見えた。帆を舟一杯にひろげて干して居るものもあれば、をかから一生懸命に荷物を積んで居るものもある。
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
その漁師の持っている発動機のついた和船わせんで、岩屋島へわたしてもらうことにしました。
大金塊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そうの小さい和船わせんであった。
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)