命懸いのちがけ)” の例文
何うしても動かぬのでまたいで来たそうだが、吾等二人は其事を後で聞いた、暗中石坂途を命懸いのちがけで降る時には、蛇が居ようがひきが居ようが、何が居ようとそんな事どころではなかった。
武甲山に登る (新字新仮名) / 河井酔茗(著)
大阪天滿てんまの邸には四宮市兵衞が殘つて、豐臣方の奉行等に對して命懸いのちがけ分疏いひわけをした。
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
ほんとうに命懸いのちがけの土壇場です。私は長い間、そうして寿命の縮むおもいをしながらも、どうしても押入が開けられないで立ちつくしていましたが、遂に意を決して風呂敷包を検べて見たのです。
二癈人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「実際命懸いのちがけで来ました。」と思いって答えると、女はしめやかに
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)