向風むかいかぜ)” の例文
華奢きゃしゃな事は、吹つけるほどではなくても、雪を持った向風むかいかぜにゃ、傘も洋傘こうもりも持切れますめえ、かぶりもしないで、湯女ゆなと同じ竹の子笠を胸へ取って、襟を伏せて、俯向うつむいてきます。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
菅笠すげがさ目深まぶかかぶって、しぶきに濡れまいと思って向風むかいかぜ俯向うつむいてるから顔も見えない、着ている蓑のすそ引摺ひきずって長いから、脚も見えないで歩行あるいてく、脊の高さは五尺ばかりあろうかな、猪
化鳥 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)