吃度きっと)” の例文
ビアトレスさん、余り心配なさらないがいいです。伯父さんもいることですから、小母さんの為には、どんな事でもして吃度きっと小母さんの御心配を
P丘の殺人事件 (新字新仮名) / 松本泰(著)
たとえそれは泥がついていなくとも、リノリュームのあぶらかなんかがきっと表面に付着するだろう。それを反射光線を使い顕微鏡で拡大すれば吃度きっと足跡が出るに違いない。
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)
食べものなんかも、吃度きっとうるさくて、江戸前の料理ばっかり食べて居られるに違いあるまい。
食べたり君よ (新字新仮名) / 古川緑波(著)
松さんの前で、そう言っちゃ何だが、でも船頭に限って吃度きっと忘れ物をするのでね。
大利根の大物釣 (新字新仮名) / 石井研堂(著)
決して私めが僣上せんじょうに岩沼子爵の御令嬢をどうのこうのとはもうしませぬから、金円品物は吃度きっと御持帰り下され、しかしまざ/\と夫婦約束までしたあの花漬売はなづけうりは、心さえ変らねばどうしても女房に持つ覚悟
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
扉を破って入ったときに、室内に圧力の高い瓦斯と空気が充満していたものだったら、私は吃度きっと強く吹きとばされた筈です。しかし一向そんなふうもなく、普通の部屋へ入るのと同じ感じでありました。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)