古往今来こおうこんらい)” の例文
エドガー・アラン・ポオの小説を読むと、他人の眼をんで殺人を行う話がある。けれども鼻を忌んで殺人を行った人間は古往今来こおうこんらい自分一人であると思う。
鼻に基く殺人 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
古往今来こおうこんらい、この様な場所で、神様にお祈りを捧げた人が、一人でもあったであろうか。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
湯にって顫えたものは古往今来こおうこんらいたくさんあるまいと思う。湯から出たら「公まずねぶれ」と云う。若い坊さんが厚い蒲団ふとんを十二畳の部屋にかつむ。「郡内ぐんないか」と聞いたら「太織ふとおりだ」と答えた。
京に着ける夕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
人のいのちも大いなる自然物である。よい種子たねをまいてよく育てたら、法則にしたがって時もたがえず美しく伸びてゆくはずである。しかし古往今来こおうこんらい、本当にわが子を立派に育てた親が幾人あるだろう。
最も楽しい事業 (新字新仮名) / 羽仁もと子(著)
かくのごときものは古往今来こおうこんらい他にその例を見ず。
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
恋が屡々しばしば恐ろしい結末をもたらすものであることは、古往今来こおうこんらいその例に乏しくないが、良雄とあさ子との恋仲は、あさ子の突然な失明によって、果敢はかなくも、良雄の方から
血の盃 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)