叙任じょにん)” の例文
そこもとはいうまでもなく、黄文炳こうぶんぺいなる者の功も、奏聞そうもんに入ってあれば、他日かならず、恩賞ならびに、はえ叙任じょにんもあらむ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
田中中尉は机の上へ罫紙けいしを何枚もじたのを出した。保吉は「はあ」と答えたぎり、茫然と罫紙へ目を落した。罫紙には叙任じょにんの年月ばかり細かい楷書かいしょを並べている。これはただの履歴書ではない。
文章 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
また、楠木正成には、摂津、和泉の一部と、河内守への叙任じょにんがみられ、また船上山いらい忠勤の名和長年には、因幡いなば伯耆ほうきの両国があたえられた。
彼は寸功すんこうを顧みて拝辞した。が、かさねて優渥ゆうあくなお沙汰を賜うて、従五位下、左近衛少将に叙任じょにんせられた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なるほど尊氏は将軍宣下せんげを求めていたが、朝廷はそれを拒否して、他の宮へ征夷大将軍を与えてしまった。のみならず、朝議はその後、おかしな叙任じょにんを尊氏へ贈っていた。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
途中、秀吉のはからいと内奏ないそうによって、信雄にたいし、正三位権大納言しょうさんみごんだいなごん叙任じょにんの沙汰があった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ときに、その叙任じょにんを見てから早々のことだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)