双刃もろは)” の例文
双刃もろはの刀——あの宙に投げてお手玉に取ったり、床の上に突っ立てたり、見物の前で呑んで見せたりする、物凄い刀だったのです。
平生同氏が机上にて使用していた鋭利な英国製双刃もろはの紙切ナイフを以て、真正面より心臓部を刺貫され絶命している事が、今朝十時頃に到って発見された。
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
これは双刃もろはの刀であって、新を求める者に対しては伝統がないから卑俗だといってたたく武器となるが
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
これを理想という短い尺度から矛盾とるなら、この矛盾は双刃もろはの剣で、腐朽ふきゅう常套じょうとうを斬り、固着の錆苔を剥ぎます。未解決や未完成を恐れて何で解決や完成に旅立たれましょうか。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
双刃もろはの剣を大上段に、かがみのごとき目をみはって、カッと牡丹ぼたんの口をひらき、すさまじい火焔をはくのです。
幻術天魔太郎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)