参宮さんぐう)” の例文
長者は二三日すると伊勢参宮さんぐうをすることになっておりました。長者はなるほどと思いました。しかし逃亡しようとした奴隷どれいをそのままにして置くわけには往きません。
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
まず四人同道で伊勢いせ参宮さんぐうのために京都を出る時に、道すがら三人の者がそれぞれ詩や歌をむと、道無斎がそれを聞いて、滔々とうとうとして次のごとき説法を始めるのである。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
参宮さんぐう小幡おばたどまりや明の春 里東
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
参宮さんぐうしゆうにかあらむ、たびびとの
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
明治五年ごろの晩春の夕方、伊良湖岬いらこざきの手前のいそに寄せて来た漁船があった。それは参宮さんぐう帰りの客を乗せたもので、五十前後に見える父親と、二十歳はたち位になるせがれの二人づれであった。
参宮がえり (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)