原因おこり)” の例文
原因おこりの罪はとかぞふれば流石に天道是れ無差別とは言ひがたけれど、口に正義の髭つき立派なる方樣のうちに、恐ろしやまことの罪はありける物を
暗夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
茶受にしよう、是非お千さんにも食べさしたいと、甘谷の発議。で、宗吉がこれを買いに遣られたのが事の原因おこりであった。
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あんずるに、火の原因おこりは、昼、初春はるうたげに、たくさんな花籃はなかごが持ち込まれており、上には、蝶花の祭りかんざしがたくさんしてあったが、かごの底には、硫黄いおう焔硝末えんしょうまつ、火薬玉などが
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一体どうしてそういう妙な心持になったのであろう。まずその原因おこりから考えて見なければならない。武士の家に生れたその身は子供の時から耳に胼胝たこのできるほどいい聞かされた武士の心得武士の道。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その間違いの原因おこりは、実に十五夜の当日、高輪たかなわの月見茶屋から友達とれて、そのまま、大山へ詣り、箱根熱海と遊び廻って立ち帰りますと、死んだ主人あるじが戻ったというわけで、私の方こそ
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
負傷けがは正しく其人の所爲なれど、原因おこりは我れを恐るゝよりの事、おもへば何も我が罪なりし、君をば我が手に救ひしにはあらで、言はゞ死地に導くやうの成行、何もこれまでの契りと御命を賜はれや
暗夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)