半歳はんさい)” の例文
僅か半歳はんさいあひだ、匇々たる貧裡半歳の間とは云へ、僕が君によつて感じ得た幸福は、とこしなへに我等二人を親友とするであらう。
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
このとき既に、小牧における秀吉との半歳はんさいにわたる対戦は、秀吉の奇手と、信雄の軽率きわまる単独講和によって、万事、終っていたのである。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
東京のは早く消えるからいものの、五日十日積るのにはどうするだろう。半歳はんさい雪にもるる国もある。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
われその年の秋母のゆるしを得て始めて八重を迎へいえを修めしめしが、それとてもわずか半歳はんさいの夢なりけり。その人去りて庭のまがきには摘むものもなくて矢筈草いたずらひはびこりぬ。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
安達君は乗換の電車を待ちながら、青空せいくうを仰いで、意気軒昂いきけんこうたるものがあった。卒業後半歳はんさいにして、ついに就職戦線を突破したのである。勤め始めてから丁度一週間、仕事の方はまだ無我夢中だ。
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
引き受け、半歳はんさいを支えしは、北条家の面目である
真田幸村 (新字新仮名) / 菊池寛(著)