千手せんじゅ)” の例文
「いよいよ、永年憧れていた恋人が、やって来たぞ」そういったのは、旗艦きかん陸奥むつ士官室ガン・ルームに、其の人ありと聞えた剽軽ひょうきん千手せんじゅ大尉であった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
町ともつかず村ともつかないひなびた家並がある。ここは重衡しげひらの東下りのとき、鎌倉で重衡に愛された遊女千手せんじゅの前の生れた手越たごしの里だという。
東海道五十三次 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
鎌倉殿のお目に留まって以来、此の二、三年おやかたに仕えておりますが、見目みめ形は申すに及ばず、心も気質も優しい女性でございます、名は千手せんじゅまえと申します
古典平家も「重衡生捕」「海道くだり」「千手せんじゅ」など、重衡の末路には、三つの巻題を与えている。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
往時はかくアカヌガワラと呼んでいたのか]の南西によれり広さ凡一里半余も有ける由茲は徃反する処にあらねば知れるものすくなし千手せんじゅがぴんと称する草花の名産を生ず
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
千手せんじゅ大尉は、旗艦陸奥を呼ぶために、短波のラジオ受信機のスイッチを入れた。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
よろずの仏のがんよりも 千手せんじゅちかいぞ頼もしき。
「うわーッ、千手せんじゅの奥の手が始まった。もう判った。やめィ」
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
千手せんじゅまえ