勁健けいけん)” の例文
一首は、よい気持になられての即興であろうが、不思議にも軽浮に艶めいたものがなく、寧ろ勁健けいけんともうべき歌調である。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
松陰は文学者にあらず、しかれどもその文章質実明快、勁健けいけんにして熱情活躍、そのわんと欲する所をう、あたかも拇指ぼしを以て眼睛を突くが如し。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
積極的美とはその意匠の壮大、雄渾ゆうこん勁健けいけん艶麗えんれい、活溌、奇警なる者をいひ、消極的美とはその意匠の古雅、幽玄、悲惨、沈静、平易なるものをいふ。
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
淡彩がよく、点がよく、劃がよい——ことにその線の勁健けいけんにして、和順なる味といったら、本当の精進料理をみしめる味で、狩野家の嫡流として鍛えこんだ腕でなければ
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
積極的美とはその意匠の壮大、雄渾、勁健けいけん、艶麗、活溌かっぱつ、奇警なるものをいい、消極的美とはその意匠の古雅、幽玄、悲惨、沈静、平易なるものをいう。
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
五枚の下画を示されたるを見るに水戸弘道館みとこうどうかん等の画にて二寸位の小き物なれど筆力勁健けいけんにして凡ならざる所あり
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
意匠に勁健けいけんなるあり、優柔なるあり、壮大なるあり、細繊さいせんなるあり、雅樸がぼくなるあり、婉麗えんれいなるあり、幽遠ゆうえんなるあり、平易なるあり、荘重そうちょうなるあり、軽快なるあり、奇警きけいなるあり、淡泊たんぱくなるあり
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)