功名てがら)” の例文
金眸もななめならず喜びて、「そはおおいなる功名てがらなりし。さばれなんじ何とてかれを伴はざる、他に褒美ほうびを取らせんものを」ト、いへば聴水は
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
あわれかかるものに成るべきならば功名てがらを得させて、多年いだける心願こころだのみそむかざらしめたし、草木とともに朽ちて行く人の身はもとより因縁仮和合いんねんけわごう
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ると、持出された書類函が重なって、中から帳簿が喰出はみだしていた。四方が真黒に焦げたカード箱が投出されてる傍には、赤く焼け爛れた金庫が防火の功名てがらを誇り顔していた。
あれは犬じゃ烏じゃと万人の指甲つめはじかれものとなるは必定ひつじょう、犬や烏と身をなして仕事をしたとて何の功名てがら
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
われもかれさへ亡きものにせば、躯はさのみ要なければ、わが功名てがら横奪よこどりされて、残念なれども争ふて、きずつけられんも無益むやくしと思ひ、そのまま棄てて帰り来ぬ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
彼奴あれめは犬ぢや烏ぢやと万人の指甲つめに弾かれものとなるは必定、犬や烏と身をなして仕事を為たとて何の功名てがら
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
あはれ如是かゝるものに成るべきならば功名てがらを得させて、多年抱ける心願こゝろだのみそむかざらしめたし、草木とともに朽て行く人の身は固より因縁仮和合いんねんけわがふ、よしや惜むとも惜みて甲斐なく止めて止まらねど
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)