剪燈新話せんとうしんわ)” の例文
新字:剪灯新話
聊斎志異れうさいしい剪燈新話せんとうしんわと共に、支那小説中、鬼狐きこを説いて、寒燈為に青からんとする妙を極めたるは、あまねく人の知る所なるべし。
剪燈新話せんとうしんわ聊斎志異りょうさいしいがひろく読まれている国だから、こういう想像説も生れて来そうなことさ。相手がいよいよ幽霊ときまれば、どうにも仕様がない。
女侠伝 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
この幽怪録の話は、みん瞿佑かくゆうの『剪燈新話せんとうしんわ』の中の申陽洞しんようどうの記の粉本ふんぽんになっている。
怪譚小説の話 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その上に支那の「剪燈新話せんとうしんわ」の中の牡丹燈記や、それに材を得た浅井了意の『伽婢子おとぎぼうこ』や山東京伝の『浮牡丹全伝』をたよりに、よろしく膨大の譚を夢中で書き上げてしまったのだった。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
嵌めようたって、そうは問屋じゃおろさない。お前とおれとでは学がちがうでな……。おい、ひょろ松、これは『剪燈新話せんとうしんわ』にある『金鳳釵きんぽうさ』という話だが、いったいどこから仕入れて来た
顎十郎捕物帳:20 金鳳釵 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
剪燈新話せんとうしんわ」を飜案した浅井了意れういの「御伽婢子おとぎばふこ」は寛文くわんぶん六年の上梓じやうしである。爾来じらいかう云ふ怪談小説は寛政頃まで流行してゐた。たとへば西鶴の「大下馬おほげば」などもこの流行の生んだ作品である。
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
この牡丹燈籠は、「剪燈新話せんとうしんわ」の中の牡丹燈記ぼたんとうきから脱化したものである。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
やがて奥の木立ちの間に一つの燈籠のがぼんやりと浮き出した。それはここらでしばしば見る画燈がとうである。僕はにわかに剪燈新話せんとうしんわの牡丹燈記を思い出した。あわせて円朝の牡丹燈籠を思い出した。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)