前世さきのよ)” の例文
たゞそれだけがおり/\おもい出されるけれども、それから先は、まるきり想像の及ばない、前世さきのよの出来事のようにぼやけて居る。………
二人の稚児 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
唯今ただいまは御慮外をいたしまして、恐入ってござります。命をつなぐためとは申せ、因業いんごう活計くらしでござりまして、前世さきのよの罪が思い遣られまする。」と啜上すすりあげて、南無阿弥なむあみと小声にて唱え
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
昨日きのふより去年こぞよりれしより、あらず前世さきのよより
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
お前は前世さきのよで、天竺てんじくの或る国王の御殿に仕えて居る役人であった。その時分、其処の都に一人の美しい女人が居て、お前を深く恋い慕って居た。
二人の稚児 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
前世さきのよつまはか赤埴あかはにおもひ
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)