初筆しょふで)” の例文
「玉藻、どうじゃ。みなもあれほどに言うているぞ、お身がまずその短尺に初筆しょふでをつけいでは……。予が披講する。早う書け」
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「甲州の八幡村の小泉の家で、わたしに逆綴ぎゃくとじの帳面の初筆しょふでをつけさせました、あの時の水車小屋の娘もかわいそうでしたね」
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
葬礼のひかえのようにさかさとじなどと言うあくはしてありませんから、何なら、初筆しょふでを一つ……
露萩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
初筆しょふでから三番目のところに紙が貼ってあるだろう、比留間ひるまなんとやら、桜井なんとやらという人の名前の次にある人の名前は、何という方だか知らねえが
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
わしもなんだかおい申したようで気が置けるけれども、お前さんの頼みというのを聞いて上げますよ、さあ、わしの立てた趣向だから、わしに初筆しょふではなを持たせておくんなさい
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「それでは、そこへ初筆しょふでに二月十四日の夜と書いて……」
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)