切々せっせ)” の例文
あ、たッ、何でい、わーい、という声が譟然がやがやと入違って、友達は皆道草を喰っている中を、私一人は駈脱かけぬけるようにして側視わきみもせずに切々せっせと帰って来る。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
先生がさんおさむる事をやめられてから、一家の主人役に立たれたあなたが、児孫じそんの為に利益を計り権利を主張し、切々せっせと生活の資を積む可く努められたのも
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
早く帰ってこれがたべさせたかったので、待憧まちこがれた放課の鐘が鳴るや、大急ぎで学校の門を出て、友達は例の通り皆道草を喰っている中を、私一人は切々せっせと帰って来ると
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
莫斯科モスクワの小店なぞに切々せっせ売溜うりだめの金勘定ばかりして居るかみさんのマシューリナ、カテーリナならいざ知らず、世界のトルストイの夫人の挙動ふるまいとしては、よく云えばあまりに謙遜けんそん
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)