出養生でようじょう)” の例文
お雪がうるさくなって、病気出養生でようじょうと、東福寺の寺内じないのお寺へ隠れると、手を廻して居どころを突きとめ、友達の小林米謌べいかという人を仲立ちに
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
はじめがその出養生でようじょうの嬢様じゃ。これが産後でおいとしゅうならしった。大騒ぎのすぐあと、七日目に嫁御がお産じゃ。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私は京都を出立してよりさまざまな不幸にあいました。尾道に夜遅く着くと思いもよらぬ姉の重患にてちょうど担架にのせられて出養生でようじょうするところでした。
青春の息の痕 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
柳吉はやがて退院して、湯崎温泉へ出養生でようじょうした。費用は蝶子がヤトナで稼いで仕送りした。二階借りするのも不経済だったから、蝶子は種吉の所で寝泊りした。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
塩湯というのは京橋木挽町河岸こびきちょうがしにあった。そんなわけで鶴見はさっそくそこへ遣られた。出養生でようじょうである。
このあいだから丹波の一味をつれて、葛西領かさいりょう渋江しぶえの、まろうど大権現だいごんげんの寮へ、出養生でようじょうを名に出むいているけれど、またなにかよからぬたくらみをしているに相違ない——。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ポツンと一人住んでいたころなので、私が子供のくせにふさぎの虫を起すと、母は出養生でようじょうの意味で、あの心持ちの至極のんびりしたおばあさんの家へ私をやってくれるのであった。