凡夫ぼんぶ)” の例文
その間ステーションで茫然ぼんやりと待って居らなければならぬ。腹は減るし目的は達せず凡夫ぼんぶという者はこんなつまらぬ考えをするものかと思うような愚痴ぐちも実は心の中に浮びました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
凡夫ぼんぶなればはらもたち、いつくしきものが、おしい、ほしいとおもう一念がおこるとも、二念をつがず、水にえをかくごとく、あらあさましやと、はらりと思い切り、なに心なくむねん
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
どうせ一度は捨小舟すておぶねの寄辺ない身に成ろうも知れぬと兼て覚悟をして見ても、其処そこ凡夫ぼんぶのかなしさで、あやうきに慣れて見れば苦にもならずあてに成らぬ事を宛にして、文三は今歳の暮にはお袋を引取ッて
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
もとより世世よよ凡夫ぼんぶなり
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
よくよく私はごうが深いのだ。私の老年になってこうなのだから、若い唯円が苦しむのも無理はない。しかし私は決して救いは疑わぬのだ。仏かねて知ろしめして煩悩具足ぼんのうぐそく凡夫ぼんぶと仰せられた。
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)