内腿うちもも)” の例文
そのときつぎはぎだらけの垢染あかじみたあわせがぶざまにみだれて、びっくりするほど白いやわらかな内腿うちももしりのほうまでむきだしになった。
お繁 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
『街巷新聞』に出ていた記事は誹謗ひぼうでも中傷でもない。むしろ君江の容姿をほめたたえた当りさわりのない記事であるが、その中に君江さんの内腿うちももには子供の時から黒子ほくろが一つあった。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
継ぎの当った、丈の短い黒っぽいあわせの裾が割れ、眼に痛いほど白くふくよかな内腿うちももと下腹部とが、むきだしになった。
ちくしょう谷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
……菊千代は失禁したのである、馬が止ったとたん、温かいものがかなり多量にそこを濡らすのを感じた。今もそれがきみ悪く内腿うちももの肌に感じられるのである。
菊千代抄 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
あらわにひろげられた内腿うちももには静脈がうき、双の眼は怠惰な倦怠けんたいと溶けるような欲望との入混った不思議な赤みがさしている、右手を頭の後へ廻し左手はくったりと床の外へ垂れている
正体 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)