内端うちば)” の例文
胸を反らして空模様を仰ぐ、豆売りのおばあの前を、内端うちばな足取り、もすそを細く、蛇目傘じゃのめをやや前下りに、すらすらと撫肩なでがたの細いは……たしかに。
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
とても余所外よそほかの小供では続かないが、其処そこは文三、性質が内端うちばだけに学問には向くと見えて、余りしぶりもせずして出て参る。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
小児の時に内端うちばで人に臆したような風な者は柔弱臆病とは限らない、かえって早くから名誉心が潜み発達して居る為に然様いう風になるものが多いのである。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
随分と粗物を用い、しかしつづれを着よとは申さず。富家の主人は主人だけの内端うちばを用い、召仕は召仕だけの内端を心得、寛政度触出し置き候通り相心得、風俗を昔に返せと申す事だ。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
到底どうせもらう事なら親類なにがしの次女おなにどのは内端うちば温順おとなしく器量も十人なみで私には至極に入ッたが、このを迎えてさいとしては
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)