学人がくじんは、代々土着の家柄の人で、世評に聞けば、書は万巻に通じ、胸に六韜三略りくとうさんりゃくをきわめ、智は諸葛孔明しょかつこうめいに迫り、才は陳平ちんぺいにも比肩ひけんし得よう、とある。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
慶長四年(一五九九)の『孔子家語こうしけご』、『六韜三略りくとうさんりゃく』の印行を初めとして、その後連年、『貞観政要』の刊行、古書の蒐集、駿府すんぷの文庫創設、江戸城内の文庫創設
何よりも先ず宮益みやますの興農園からの長い作切鍬、手斧鍬ちょうなぐわ、ホー、ハァト形のワーレンホー、レーキ、シャヴル、草苅鎌、柴苅鎌しばかりがまなど百姓の武器と、園芸書類えんげいしょるい六韜三略りくとうさんりゃくと、種子となえとを仕入れた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
臨淮りんわい東城とうじょう安徽省あんきしょう・東城)におります。——この人は、胸に六韜三略りくとうさんりゃくを蔵し、生れながら機謀に富み、しかも平常は実に温厚で、会えば春風に接するようです。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……正成には、大江家伝世の兵学、この時親が胸中のもの、あらましはさずけてあるが、さらに、かかる時に会したからは、六韜三略りくとうさんりゃくの奥義までも、ことごとく伝授してやろうものを、と
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これらの四子は、さきに失敗を招いた夏侯楙駙馬かこうもふばなどとは大いに質がちがっていて、兄のは弓馬武芸に達し、弟のけい六韜三略りくとうさんりゃくそらんじてよく兵法に通じ、他の二兄弟もみな俊才の聞えがあった。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)