入定にゅうじょう)” の例文
天竺てんじく乾陀羅けんだら国の見生王という王様がいたが、どうかして生身の観世音菩薩を拝みたく思い、発願はつがん入定にゅうじょうして祈りをささげた。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
高野の山へ集って来たからにはどうせ世を厭う人々ではありながら、同じ厭離おんりの願いを遂げるにも座禅入定にゅうじょうの法もあれば念佛三昧の道もある。
三人法師 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
大迦葉が入定にゅうじょうして弥勒の下生げしょうを待つ所を、耆闍崛山ぎしゃくつせんとするは『涅槃経後分』に基づき、鶏足山とするは『付法蔵経』に拠る(『仏祖統紀』五)。
かつて類のない誓願を抱いて、辺地異域にはべり、日夜万民を憐れみ、普賢ふげん菩薩の悲願に習い、生身のまま入定にゅうじょうした事を実証せんがため弥勒みろくの出現を待つものです
山伏塚は山伏をって葬ったとか、入定にゅうじょうしたとか言っているであろう。こうたくさんあっては山伏が足りなくなる。富士塚は新しい流行で東京にも大きいのがある。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「ああそれではこのお方はえんノ小角であったのか。文武天皇大宝元年に、漢土もろこしへ渡ったと記されてあるが、それではその後この地へ帰り、ここで入定にゅうじょうされたものと見える」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
を唱えて火中に入定にゅうじょうしたというような話は、有名な話であります。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)