児孫じそん)” の例文
先生がさんおさむる事をやめられてから、一家の主人役に立たれたあなたが、児孫じそんの為に利益を計り権利を主張し、切々せっせと生活の資を積む可く努められたのも
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
負えるあり、いだけるあり、児孫じそんを愛するが如し。松のみどりこまやかに、枝葉しよう汐風しおかぜに吹きたわめて、屈曲おのずからためたる如し。そのけしき窅然ようぜんとして美人のかんばせよそおう。
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
わたくしは老後に児孫じそんのない事を以て、しみじみつくづく多幸であると思わなければならない。
西瓜 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
諸仏祖師の何人も禅宗とは称しなかった。「しるべし禅宗の称は魔波旬まはじゅんの称するなり、魔波旬の称を称しきたらんは魔党なるべし、仏祖の児孫じそんにあらず」(正法眼蔵仏道)。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)