僞善ぎぜん)” の例文
新字:偽善
麥色の薔薇ばらの花、くくりの弛んだ重い小束こたばの麥色の薔薇ばらの花、やはらかくなりさうでもあり、かたくもなりたさうである、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
壓制あつせい僞善ぎぜん醜行しうかうたくましうして、つてこれまぎらしてゐる。こゝおいてか奸物共かんぶつども衣食いしよくき、正義せいぎひと衣食いしよくきうする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
惡徳と僞善ぎぜんとを憎み拔く名御用聞の血は沸々としてたぎりますが、えることの出來ない階級制度は、十手も捕繩も何うすることも出來なかつたのです。
紙細工かみざいく薔薇ばらの花、この世にあるまじき美をたくみにも作り上げた紙細工かみざいく薔薇ばらの花、もしや本當ほんたうの花でないかえ、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
眼の黒い薔薇ばらの花、おまへの死の鏡のやうな眼の黒い薔薇ばらの花、不思議といふ事を思はせておくれ、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)