傍屋はなれ)” の例文
きっかり八時に、わたしはフロックコートを一着におよび、頭のかみを小高くり上げて、公爵夫人こうしゃくふじん住家すみかなる傍屋はなれへ入って行った。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
こういう瞬間に彼は、自分に信服した、しっかりした男が自分の身近に、同じ部屋の中ではなくても、せめて傍屋はなれのほうにでもいて欲しかった。
わたしはすっかり怖気おじけづいて、こそこそ彼女たちの傍屋はなれいこんでは、なるべく老夫人のそばに、くっついているようにしたものである。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
このスメルジャコフが成人して、フョードル・パーヴロヴィッチの第二の下男として、この物語の初めのころ、老僕グリゴリイ夫婦と共に、傍屋はなれに住んでいたのである。
もっとも庭へは足を入れず、傍屋はなれを一度だって振向ふりむきもしなかった。ところがその晩になって、わたしはおどろくべき出来事をこので見ることになった。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
『まあ何にしても、夜分ひとりのときさびしくなくっていいわい』実際、彼は夜分は召し使いを傍屋はなれへ下げて、一晩じゅう母屋おもやにただひとり閉じこもるのが習慣であった。