仮山つきやま)” の例文
門の中には右のほうに水のきれいな泉水せんすいがあって、そのへり仮山つきやまがあった。仮山の上には二三本の形のおもしろい小松が植わっていた。
藤の瓔珞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
蘭軒のいへの後には仮山つきやまがあつて草木が茂つてゐた。雉はをり/\そこへ来ることがあつたのを、猫が覗つてゐて捕へたのである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
天鵞絨びろうどの峰はその前に仮山つきやまのようにうねりあがっていた。そこは窪地くぼちのようになって遠くの見はらしはなかったが、お花畑のように美しい場所であった。
山寺の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
仮山つきやま背後うしろになった四阿屋あずまやの方へ往ったのだ、四阿屋の中には、人のひそひそと話す声がしていた、枝葉の間からそっとのぞくと、月の陰になって中にいる人は見えないが
雨夜草紙 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)