仕度じたく)” の例文
男は水を飲んでしまつて、三人に眼で知らせると、三人はすぐに帰り仕度じたくをはじめました。さあ、これからがお話です。
赤い杭 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
そうわれたときに、わたくしなにやらすこ心細こころぼそかんじましたが、それでもすぐになおしてたび仕度じたくととのえました。わたくしのそのときたび姿すがたでございますか……。
ある日、仕事を終えて帰り仕度じたくをしていると、労働組合の同志の中村がぶらりとたずねて来た。ちょっと話がある、と彼はいうのだ。二人は肩を並べて事務所を出た。
(新字新仮名) / 島木健作(著)
その間にきっと初雪がある、との注意で冬仕度じたくをしてでかけたら、あちらの人々はまだみんな合着で、札幌の街をマフラー姿で歩いた最初の人間が、私ということになった。
式が済んでみんなはもう帰り仕度じたくをした。けれど私はまだ観念がしきれずにぼんやりと立っていた。するとそこへ、教師がやって来て、普通の免状と優等賞状との二枚を鼻先に見せびらかした。