今茲こんじ)” の例文
わたくしは今茲こんじ甲子の春正徳寺に赴きその孫女に面会した。その時聞き得た南園の逸事談は『葷斎くんさい漫筆』と題した鄙著ひちょに記してあるのでここには言わない。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
今茲こんじ大正六年に東大久保にある伊沢分家では徳五十九、母柏改曾能八十三、姉長(在福山津山碧山未亡人)六十四、子信匡十六、ぢよたかよ二十九、ちよ二十一
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
今茲こんじの垢をも綺麗さっぱり、アア正月が待ち遠しいとは自慢でばかりは言わぬ。
残されたる江戸 (新字新仮名) / 柴田流星(著)
『枕山絶句鈔』所載のこの年の作「早春即興」二首の一に、「今茲こんじ正月城北災アリ旧稿印本ことごと烏有うゆうトナル。」
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
わたくしは伊沢蘭軒の事蹟を叙して其子孫に及び、最後に今茲こんじ丁巳に現存せる後裔を数へた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
荒陬僻邑こうすうへきゆう識ラザル者トイヘドモ、かならず槖中たくちゅうニ入レ、おさめテ二巻トナシ命ジテ名家詩録トイフ。今茲こんじ戊申梨棗りそう竣成ス。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)