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今為朝
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いまためとも
大津のまちにその弓道の道場をひらいていたころには、
八坂の
塔の
怪人を
射るいぜんから、
今為朝とはやされていた人。
坂本の町に
弓術の道場をひらいて、都にまで名のきこえている
代々木流の
遠矢の
達人、
山県蔦之助という者であるが、町の人は名をよばずに、
今為朝とあだなしていた。
小文治がいいわけしていると、
蔦之助も遠くから、このようすを見てかけてきた。そして、
今為朝ともいわれたじぶんの矢を、つかみとるとは、
末おそろしい子だという。