仁君じんくん)” の例文
「君がそれほど賞めるくらいなら、玄徳はまさしく真の仁君じんくんかもしれない。もとよりお互いに生死を共に誓った仲だ。君のすすめにまかせて城をあけ渡そう」
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのあらゆる欠点にもかかわらず、この君がある限り、漢の天下は微動だもしない。高祖はしばらくくとするも、仁君じんくん文帝ぶんていも名君景帝けいていも、この君に比べれば、やはり小さい。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
それ聖代せいだいには麟鳳りんほう來儀らいぎ仁君じんくんの代には賢臣けんしんあつまるとうべなるかな我がてう徳川とくがは八代將軍有徳院殿いうとくゐんでんの御代に八賢士あり土屋相摸守つちやさがみのかみ松平右近將監まつだひらうこんしやうげん加納遠江守かなふとほたふみのかみ小笠原若狹守をがさはらわかさのかみ水野山城守みづのやましろのかみ堀田相摸守ほつたさがみのかみ大岡越前守おほをかゑちぜんのかみ神尾若狹守かんをわかさのかみ是なり然るに其有徳院殿の御代享保きやうほ二年大岡越前守町奉行ぶぎやうと成始めて工夫のさばきあり其原因を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ここにおわすおんかたは、おさっしのとおり、伊那丸君であります。天下の武将のなかでも徳川とくがわどのは仁君じんくんとうけたまわり、おん情けのそでにすがって、若君のご一身を
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)