人文じんぶん)” の例文
冀北きほくの強国、袁紹えんしょうが亡びてから今年九年目、人文じんぶんすべてあらたまったが、秋去れば冬、冬去れば春、四季の風物だけは変らなかった。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今でさえそれほどでなければ、人文じんぶんの発達した未来すなわち例の一大哲学者が出て非結婚論を主張する時分には誰もよみ手はなくなるぜ。いや君のだから読まないのじゃない。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
支那における考証学亡国論の如きは、もとより人文じんぶん進化の道を蔽塞へいそくすべき陋見ろうけんであるが、考証学者中に往々修養のない人物をだしたという暗黒面は、その存在を否定すべきものではあるまい。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
唐朝とうちょううつしの、官庁楼門や、純大和様式の皇居、離宮、公卿館くげやかたのある地区などは、ひとまず、幾世紀の風化と、人文じんぶんの調和のもとに、この国の平安京をつくりあげてはいたが、くまなく歩いてみると