人情噺にんじょうばなし)” の例文
私はとうとう益さんの野中の一本杉というものをかずにしまった。今考えると、それは何でも講釈か人情噺にんじょうばなしの一節じゃないかしらと思う。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
圓朝師が在世中、数百の人情噺にんじょうばなしを新作いたしました事は皆様が御承知であります。本篇は師が存生中ぞんしょうちゅう筋々すじ/\わたくしにお話しになりました記憶のまゝを申上ぐる次第であります。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
円朝えんちょう人情噺にんじょうばなしに出て来る女が、長い火箸ひばしを灰の中に突き刺し突き刺し、ひとだまされたうらみを述べて、相手を困らせるのとほぼ同じ態度でまた同じ口調であった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
御免をこうむりまして申上げますお話は、西洋人情噺にんじょうばなしと表題を致しまして、英国えいこく孝子こうしジョージ、スミスの伝、これを引続いて申上げます。外国あちらのお話ではどうもわたくしの方にも出来かねます。