些少ちっと)” の例文
「全く、知らないです。いつて利益になることなら、何かくすものですか。また些少ちっとも秘さねばならない必要も見出さないです。」
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
つまらねえ事を云っていやがる……え何だって何か云ってるぜ! ……『秘密の鍵は第三の壁』……何だか些少ちっとわからねえ……何でもいいや、一切合切、みんな姐ごに話してやろう
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
少しずつの貰い物もある、処が小遣や着る物は皆私に預けて少しも無駄遣いはせんで、私の手許に些少ちっとは預りもあり、私も永く使った事だから、給金の心得でけて置いた金も有るじゃ
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
さうすりや些少ちっとあ念ばらしにもなつて、いくらか彼奴あいつらが合点がってんしやう。さうでないと、あれでも御国みくにのためには、生命いのちも惜まないてあいだから、どんなことをしやうも知れない。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
すると青年は慇懃に——しかし些少ちっともくどくは無く、私の方へ頭を下げたが
温室の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「さあ、これでもお敷きなさい、些少ちっとはたしになりますよ。さあ、」
木精(三尺角拾遺) (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ひまだとそんな処まで気が着いたんでしやうけれども、何しろ病傷兵の方にばかり気を取られたので、ぬかつたです。些少ちっとも準備が整はないで、手当が行届かないもんですから随分繁忙を極めたです。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)