事欠ことか)” の例文
したればこそ、おまんまに事欠ことかかなかったんだし、それに井戸掘りがなけりゃ、誰も水が呑めやせん。水が呑めなければ、飯がのどへ通るかい
未来の地下戦車長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
思がけず路に落して、おほいに台所道具に事欠ことかきし、経営惨憺あだならず、心なき草も、あはれとや繁りけん。
草あやめ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
大杉は一時は米塩べいえんにも事欠ことかいた苦境にくるしんでいた事もあったが、最後の柏木に落付いた時は八十円の家賃を払い、奉公人も置き、夫婦から児供までが洋装でかなり贅沢な生活をしていた。
最後の大杉 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
取付けて貰って天の恵みと喜んでいるし、今福嬢までが何がうれしいか喜んでいる。するに事欠ことかいて君は、恋敵の弱点であるところの生れつき弱い心臓を
けつけてみると、本庁は上を下への大騒ぎだった。られる人に事欠ことかいて、総監閣下がかりそめの機会から非業ひごうの死をげたというのだから、これは大変なことである。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)