不易ふえき)” の例文
すなわち土俵を作り、それを標準とするが、この土俵なるものは天然てんねんに定まれる一定不易ふえきけんでなく、人為的に仮りに定めたるに過ぎぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
不腆ふてんといえども、我国の人年来恩遇を受けしをいささか謝し奉らんがために献貢す。向来きょうらい不易ふえきの恩恵をねがうのみ。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
いはく、宗教にして、し、万世不易ふえきの形を取り、万人の為め、あらかじめ、劃然かくぜんとしてそなへられたらむには、精神界の進歩は直に止りて、いとふべき凝滞はやがてきたらむ。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
『だが、宣和せんなの盛時に生れたら、誰だって、万代ばんだい不易ふえきとおもうじゃないか』
人間山水図巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
国体名分改正の初めなれば旧来の条約明白適中せざるは一々に改正し公明正大百年不易ふえきの条約を定むべし。ただおそらくは事件によっては忌嫌きけんなきにしもあらざるべし。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
力ある者が力なきものを養いかつまもるこそ、生物界における永遠不易ふえきの法則である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)