不得心ふとくしん)” の例文
又、塙代奴が余の許しも受けいで、無作むさと他藩の恩賞を受けるとは不埒千万。不得心ふとくしんこの上もない奴じゃ。棄ておいては当藩の示しにならぬ。家禄を召上げて追放せい。
名君忠之 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
忠義一図いちづのお父さんは一も二もなくお受けをしてきたが、二男じなんの裕助君が異議を申し立てたのにおどろいた。お母さんも無条件の賛成でなかった。得心とくしんのような不得心ふとくしんのようなことばかりいう。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
以て家督かとくに仕つり候儀を右兩人の者共不得心ふとくしんにて藤五郎弟藤三郎を嫡子ちやくしに立てべきむね主人へ度々相勸あひすゝめ候得共藤三郎儀は未だ幼少えうせうと申し其上多病たびやううまれ付に御座候ゆゑ主人主税之助承知しようち仕つらず候を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「帰るであろうか」と、源三郎はまだ不得心ふとくしんらしい顔をしていた。
鳥辺山心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)