不仕合ふしあは)” の例文
九郎兵衞は聞て大いに悦び我等儀われらぎ段々だん/\不仕合ふしあはせ故今は古郷こきやう忘れ難く何か此上は娘お里を手前の女房になし親の名跡みやうせきを立て呉と潸々さめ/″\なみだ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
不仕合ふしあはせな青年であるといふことで満たされ、いつそそのまゝあたりの草の上に倒れて、思ふさま涙を流さうとすら思つたが、やがて思ひ返して、そのまゝ崖に添つた路を歩いて行つた。
ひとつのパラソル (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
もう昔のことですが、わたしは相当に財産ももつてゐて、不仕合ふしあはせな人たちをたすけてやるのが、なによりのたのしみでした。たづねてくる人にはみな、いくらかのお金かパンかを恵んでやりました。
エミリアンの旅 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
押へしまゝ七轉八倒のた打廻るに流石の三次もこゝろよわりヱヽ氣の毒な不便だが殺さにや成らぬ事が有る是と云ふのもお前の因果長庵と云ふ惡者を兄に持たが不仕合ふしあはせ必ずわし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
千太郎と呼昨日きのふかはる身代となり我が身の安心なせしに付ても其むかし京都にて妻のお久の不仕合ふしあはせ又藤川の宿はづれへすてし我が子は其後如何になりしやなさけある人に拾はれそだちしかと種々しゆ/″\手を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)