上木じょうぼく)” の例文
その中には、篤胤大人畢生ひっせいの大著でまだ世に出なかった『古史伝』三十一巻の上木じょうぼくを思い立つ座光寺の北原稲雄きたはらいなおのような人がある。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ここに先生もっともわが世界に鴻益こうえきある大発明の三件があります。すなわち拙者が上年じょうねん撰述上木じょうぼくした農業三事の書がその大略であります。
禾花媒助法之説 (新字新仮名) / 津田仙(著)
これは遂に知る道がない。今日竹渓の生涯を窺知うかがいしるにはその子枕山の後年に上木じょうぼくした遺稿二巻があるばかりである。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
主人も迂老の志をよろこびいよ/\上木じょうぼくと決し、その頃はもとより活版とてはなく、ず草稿を校正して版下に廻わし、桜の版に彫刻することなれば、れ手間取り
蘭学事始再版之序 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
一たいに、見た感じを率直に申しますと、どうも浮世絵画家の筆は、やはり上木じょうぼくされた結果のもの——すなわち錦絵になったものの方が、数等結構なものに思えます。
「青山君、篤胤あつたね先生の古史伝を伊那の有志が上木じょうぼくしているように聞いていますが、君もあれには御関係ですかね。」
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
清内路とは半蔵が同門の先輩原信好のぶよしの住む地であり、座光寺とは平田大人うしの遺書『古史伝』三十二巻の上木じょうぼくに主となって尽力している先輩北原稲雄の住む村である。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
今じゃ第四ちつまで進行しております。一帙四巻としてありますが、もう第十六のまきを出しました。お聞き及びかどうか知りませんが、その上木じょうぼくを思い立ったのは座光寺の北原稲雄です。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「これはなかなか立派な本ができましたね。」と寿平次は手に取って見て、「この上木じょうぼくの趣意書には、お歴々の名前も並んでいますね。前島正弼しょうすけ片桐春一かたぎりしゅんいち、北原信質のぶただ、岩崎長世ながよ、原信好のぶよしか。 ...
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
まあ三年間の土産みやげと言えば、古史伝の上木じょうぼくを手伝って来たくらいのものです。前島正弼まさすけ、岩崎長世、北原稲雄、片桐かたぎり春一、伊那にある平田先生の門人仲間はみんなあの仕事を熱心にやっていますよ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)